「肩が痛い」「肩が上らない」などの症状でお困りではないですか。
肩の動きは、肩甲骨や脊柱などの姿勢も影響してきます。
当院では、「痛み」や「可動域制限」に対して、徒手療法や運動療法にてアプローチして改善を図っていきます。
肩関節周囲炎は一般的に「四十肩」「五十肩」と言われています。主な症状は「肩の痛み」と、肩が上がらないなどの「関節可動域の制限」です。関節可動域に制限があることから、「凍結肩」と言われたりもします。
原因としては、関節周囲の組織の炎症です。肩関節周囲には、筋や靭帯・関節包・滑液包などが存在しています。それらが、なんらかの影響を受けて炎症を起こすことで生じます。
◆徒手療法
肩関節周囲炎は肩関節の内圧が高まり、痛みを誘発することがあります。同時に肩関節周囲の筋緊張も高まります。徒手療法では肩関節周囲の筋の緊張軽減を図り、リラックスした状態を作ります。また、肩関節の可動域に制限が生じるため、徒手にて動きを促し関節可動域改善を行っていきます。
◆運動療法
肩関節周囲の緊張が高まっていると、個々の筋力のバランスに不具合が生じます。
運動療法にて筋力バランスの改善を図り、適切な動きが行えるように運動を行っていきます。
肩関節には「回旋筋腱板(rotator cuff)」と言われる4つの筋があります。
一般的には「インナーマッスル(innar muscle)」と言われている筋のことです。
回旋筋腱板には「棘上筋」「棘下筋」「肩甲下筋」「小円筋」があり、これらの筋が1つでも損傷した場合に症状が現れます。
特に「棘上筋」の損傷による発症が多く、棘上筋が外傷または退行変性により筋収縮力が低下すると、肩峰下滑液包との間で摩擦が起き、炎症の原因となりえます。症状としては、疼痛と可動域制限が出現します。
◆徒手療法
腱板損傷では、肩関節周囲の筋バランスが破綻します。
回旋筋腱板は上腕骨を肩甲骨に対して安定させる役割があります。
回旋腱板筋が損傷すると筋出力が低下してしまうため、アウターマッスルといわれる「三角筋」や「大胸筋」が過剰に働いてしまいます。その結果、インナーマッスルとアウターマッスルのバランスが崩れてしまいます。アウターマッスル優位の状態になると、アウターマッスルの緊張が高くなってしまうため、徒手にて緊張改善を図ります。また、適切な運動を行えるように、肩関節の動きを徒手にて誘導していきます。
◆運動療法
運動は痛みのでない範囲で進めていきます。
発症初期は痛みのコントロールを行いながら、腕が肩より下の高さで動かせることを目標にします。安静時と運動時の痛みが改善してきたら、可動域と筋力の向上を図ります。
腱板損傷では、インピンジメントという肩関節内で礫音や痛みがでる徴候があるため、運動にて改善も図っていきます。
上腕二頭筋は腕の力こぶをつくる筋です。
上腕二頭筋は長頭と短頭に分かれており、長頭の方に炎症が起きたのが上腕二頭筋長頭腱炎です。
上腕二頭筋長頭腱は上腕骨の結節間溝というところを通ります。
この部位で炎症を起こし、痛みを誘発することが多いため、肩関節前面に痛みを訴えることが多くなります。
上腕二頭筋腱の部分に炎症が起きているので、徒手にて筋腹の緊張を改善し、腱への負荷を減らしていきます。また、徒手と運動を組み合わせて、脊柱~肩甲骨~肩関節と適切な動きを誘導します。
本来と違った動きによって発症してしまうケースが多いため、正常な動きの再獲得を目指します。
◆注意点
「動かさないなら痛みがない」「じっとしていれば大丈夫」と動かさないまま放っておくと、肩関節の動きが少なくなり、肩関節周囲炎の発症に影響を与えることがあります。
上腕二頭筋長頭腱炎の検査には、Yergason(ヤーガソン)テスト、Speed(スピード)テストなどがあります。
石灰沈着性腱板炎とは、回旋筋腱板(インナーマッスル)に石灰が沈着することで発症します。
石灰が沈着すると急性の炎症を起こし、強い痛みや関節可動域制限をきたします。
原因としては、回旋筋腱板の変性・線維化、回旋筋腱板内のカルシウム沈着です。
◆X線 石灰が白く写る
◆治療 ステロイド注入
肩関節の可動域制限がある場合に理学療法にて介入していきます。
石灰が吸収され、痛みが治まってから関節可動域拡大を図ります。痛みの強さをみながら、関節可動域の拡大と筋肉のバランス改善・肩甲骨可動性向上など、肩関節の周囲を含めたアプローチをしていきます。