スポーツ障害とは長期の反復運動または、性急な動作により
比較的弱い力が体のある同一部位に繰り返し加えられることによって起こる障害のこと。
(野球肘、疲労骨折、シンスプリント、ジャンパー膝など)
【反復性肩関節脱臼】頻発年齢15~35才
スポーツ中の外傷などを契機として肩関節の脱臼が起こり、それが癖になって軽微な外傷でも肩が外れるようになってしまいます。
【投球障害肩】頻発年齢16~30才
野球やバレーボール、テニスなどオーバーヘッド動作でボールを投げたり打ったりするときの痛みが出ます。
【インピンジメント症候群】頻発年齢15~35才
腕の骨(上腕骨頭)が屋根の骨(肩峰)に衝突し、その間にある腱や滑液包が炎症を起こしたり、損傷が起きます。
◆反復性肩関節脱臼
手術にて壊れた関節窩の骨や靭帯を元に戻します。
リハビリによる肩周囲の筋力強化(ただし根治療法ではない)。完全に治療するなら手術選択します。
◆投球障害肩
理学療法が中心による治療します。肩の中の組織が壊れてしまっている場合は手術による治療が必要です。
◆インピンジメント症候群
リハビリによる保存療法を優先します。
症状が悪い場合は手術療法の選択します。
【内側側副靭帯損傷】 頻発年齢10~38才
明らかな肘内側の圧痛、腫張、投球時の肘痛、肘の可動域制限、時に小指側のしびれ感が出現します。
【離脱性骨軟骨炎】10~35才
外側型では肘外側の疼痛に加え、ロッキング症状を呈することがあります。
【上腕骨外側上顆炎】10~35才
ラケットでのボールインパクト時の衝撃が手首に伝わり、そのストレスが肘の筋腱付着部にまで及ぶためです。受傷要因の根底には、オーバーユースによる疲労性障害があります。
◆内側側副靭帯損傷・離脱性骨軟骨炎
オーバースローのピッチング動作の休止。また、投球後のアイシングを徹底します。骨変化が認められる場合は、3ヵ月以上のスローイング動作の休止が必要です。骨に変化をきたしている場合は、最低1-3年ぐらいのフォローアップが必要です。遊離骨片によって肘がロッキングしている場合は、骨片摘出手術が必要となります。
◆上腕骨外側上顆炎
保存療法が原則です。鎮痛消炎効果のある湿布や飲み薬が一般的です。症状が強いときにはステロイドホルモンの局部注射を行いますが、頻繁に行わないよう注意しましょう。また、稀ではありますが、手術を行う場合もあります。
【腰椎椎間板ヘルニア 】頻発年齢20~50歳 青壮年期の男性
第4-5腰椎、第5腰椎-第1仙椎に好発すると言われています。脊柱の構造的な特徴や椎間板の退行的変化などを基盤とし、髄核の突出や繊維輪の膨隆により引き起こされます。
◆主な症状 腰・殿部・下肢の痛み、痺れ、筋力低下、知覚低下、排尿障害
◆診断 徒手検査、レントゲン、MRI
【腰椎分離症】
疲労骨折などにより椎骨が椎弓の関節突起間部で分離したものを脊椎分離症といい、さらに分離した椎体が前方へ転位したものを脊椎すべり症といいます。日本人男性の約8%にみられ、成長期のスポーツ選手の腰痛の原因の30~40%を占めます。
◆主な症状 腰部から臀部、大腿後面の痛み、背部・分離部の圧痛・叩打痛、神経性間欠跛行など
◆診断 レントゲン、MRI、CT
【腰痛症】
腰、お尻から下肢後面にかけて痛む場合、坐骨神経痛と言われることがあります。しかし本来、坐骨神経痛という病気ではなく腰部脊柱管狭窄症、腰椎椎間板ヘルニア、梨状筋症候群など原疾患がある場合があります。また坐骨神経の通り道にある筋肉が硬くなってしまうと坐骨神経を圧迫してしまうため痛みや痺れが出現する場合があります。
◆主な診断 レントゲン、MRI、徒手検査
◆腰椎椎間板ヘルニア
腰椎椎間板ヘルニアの治療では、保存療法と手術療法があります。体動できないほどの痛みや排尿障害などがない場合は保存療法が選択されます。
・薬物療法
痛み止めの内服、外用薬(湿布、塗布剤)、神経ブロック注射など
・理学療法
筋硬結のある部位の治療、運動療法、日常生活動作指導を行います。
・手術療法
椎間板の摘出やヘルニアや髄核の切除などを行います。術後のスポーツへの復帰は状態にもよりますが再発の予防の為にも3ヶ月は要します。
◆腰椎分離症
治療法としては、保存療法と手術療法がありますが、慢性期で痛みが強くない限りは手術は行わず保存療法となります。
・保存療法
急性期ではコルセットや体幹ギプスなどによる固定や運動の制限を行います。慢性期では薬物療法・分離部のブロック注射などの対症療法を行います。
・理学療法
脊椎の負担のかからない動作や姿勢の指導、体幹筋のトレーニング
・手術療法
分離部修復術、椎体間固定術、除圧術などを行います。スポーツ復帰には3~6ヶ月程度かかります。
◆腰痛症
脊柱管狭窄症や腰椎椎間板ヘルニアではない場合、治療は保存療法で行われます。
・薬物療法
痛み止めの内服、外用薬(湿布、塗布剤)
・理学療法
筋硬結のある部位の治療、運動療法、日常生活動作指導を行います。
【オスグッド・シュラッダー病】頻発年齢8~15歳
脛骨粗面(膝蓋骨の下の出っ張り)に疼痛・圧痛・腫脹・熱感など発生する代表的な骨端症の1つです。成長期において急激な骨成長が起こり、相対的に大腿四頭筋(太ももの前面)が過緊張になり、脛骨粗面への牽引力が増加することが原因となります。スポーツをしている男子に多い疾患です。
【ジャンパー膝】頻発年齢10~20才後半
ジャンプやランニングを繰り返すことによって、太ももの前の筋肉(大腿四頭筋)は疲労し、硬くなります。太ももの前の筋肉(大腿四頭筋)が硬くなると膝蓋靭帯(しつがいじんたい)も上方向へ引っ張られ、お皿(膝蓋骨)の部分で摩擦が起きやすく、摩擦により痛みが出るといわれています。
【シンスプリント】頻発年齢10~18才
すねの骨(脛骨)の中央から下の方に疼痛があります。スポーツ競技のシーズン初期に痛みが強くなり、シーズンが進むにつれて痛みは軽減することもあります。
◆オスグッド・シュラッダー病
保存療法が行われます。まず局所の安静、運動量の軽減、運動種目の変更が指導されます。湿布の貼付、重症例では装具を併用することもあります。理学療法では、大腿四頭筋やハムストリングスのストレッチを行います。ただし、重症例では手術をする場合もあります。
◆ジャンパー膝
スポーツの前にはストレッチングを十分におこない、スポーツの後にはアイシングを15分ほどおこないます。貼り薬や塗り薬も効果があることが少なくありません。発症しても軽症あるいは中等症であればスポーツは続けられるので、適切なコンディショニングによってそれ以上に悪化させないことが大切です。
◆シンスプリント
・練習量の軽減と練習後のアイシング
・硬い地面での練習を避ける。シューズのクッション性が低下しているなら新規のシューズに変えます。
・消炎鎮痛剤・湿布の使用ます。
・ストレッチング・テーピング・筋力強化の指導します。